逆アンクルトリスになったあの日
これは20年前の出来事です。
アンクルトリスになったあの日
逆アンクルトリス
むかむかが、止まらない
むかむかが、どうしても止まらなかったあの日。
精神的なムカムカではなく、居ても立っても居られない吐き気を伴う身体的ムカムカ。
サザエさんに瓜二つの従姉妹の訃報が届き、仕事帰りに実家を訪問した。
むかむかが、どうしても止まらない。
我慢できずにトイレへと駆け込む。
脂汗を流しながら、しばらくウォシュレットの水たまりと無言の会話を交わし、おもむろにガバッと快感を解き放つと・・・・!
真っ赤だった。
大量の吐血。
「驚き」に、ムカつきから解放された「安堵」が勝った。
真っ先に頭を過るのは、「なんかの間違いだ。」
間髪を入れず、「あー、血がもったいない!」
・・・そして、「隠さねば!」
カタン。渦が赤を回す。
赤は茶色い残像を残して、消えた。証拠隠滅、念のためもっかい流す。
他人事のように、やたら冷静な俺。
何事も無かったようにフラフラと居間に戻り、座布団を枕にして横になる。
目の前のテレビの賑やかなバラエティー番組がとても遠くに感じる。
しばらく横になり、落ち着きを取り戻して上体を起こすと、立ち上がってもいないのに立ち眩みが襲う。
やばい。
横になると、何事もなかったかのようにめまいは収まる。
起き上がると、脳の血液が下がってくるのか?
思わずアンクルトリスが目に浮かんだ。
アンクルトリスの赤色ゲージはアルコールだが、俺のは血液。
これじゃー、逆トリスおじさんだな。
吐血の原因
夜中の0時過ぎ、なんとか起き上がれるようになって、弟の車で救急病院へ。
胃カメラでの調査では、すでに胃の中に残留血液は無く、出血箇所も不明とのこと。
そのまま、入院して経過観察と検査となった。
胃の中で反転した胃カメラ映像には、噴門から入っている胃カメラのホースが写っていた。噴門は緩んでぽっかりと開いていた。
おわりに
輸血はしなくて済みましたが、血が減るとクラクラするようになるんですね。手の甲の血管の浮き出しが無くなり、なんか子供の手みたいになりました。
従姉妹の葬儀にも出れずじまいで、そのまま一か月の入院となったのであった。
切株おやじの病歴とか・・・。