後頭部を強打して視野狭窄になった話 小説「天空のストラーダ」書評
視野が突然狭くなる
とりあえずブックマークすると後でゆっくり読めまーす。
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後頭部打撃の視野狭窄
バイク転倒事故
恐怖のハイサイド
トワイライトの潮の香に吹かれながら、海沿いの片側一車線の道はすいていた。腹をゆさぶる愛車ホンダGL400カスタムのVツインの振動が心地よい。
堤防に沿う道の先にはガードレールをまたいで交番がある右カーブ。いつものようにヨイショっとバンクさせると、不意にガードレールの向こうの歩道に下校途中の学生服数名が視界に飛び込んだ。
運転中には見てる方向に引き寄せられるという不思議な法則があるが、学生服との距離を取りたかったのだろうか思わずバイクの傾きは増し、旋回半径は狭まる。鉄製のステップがアスファルトに削られ豪快に火花を散らす。
それは、一瞬の出来事だった。
フルバンクのまま道路の真ん中に幅15センチで延びる黄色いバナナペイントに乗ってしまった。タイヤは一瞬、グリップを失う。滑ったタイヤはセンターラインを外れアスファルト路面を噛む。途端、バイクは突然跳ね上がって暴れ、俺は振り落とされた。
ゴツっ!
受け身の間もなくヘルメットの後頭部をアスファルト路面に打ち付ける。初めて体験するハイサイド事故だった。
駐在さんがいない
大丈夫ですかー?救急車呼びましょうか。
はい、大丈夫です。んー。
あれ?誰?どこから声がしてる?
誰もいないのに声だけしてる。ボディースラムを食らったプロレスラーのように気だるく起き上がりながら見まわすと、暗闇の中にやたら顔が近いお巡りさんを見つけた。
まるで、競走馬のブリンカーを装着してるような視界。まん前しか見えん。(つд⊂)エーン
これではバイクの運転もヤバい。自宅まで約1キロを200㎏の愛馬を押して帰ることとなった。
視野狭窄
逆光にたたずむ黒猫をペイントしていたお気に入りのヘルメットは、後頭部の塗料が一面剥げてケバだったFRP素材が白く剥き出しになり、側面と頭頂部まで数本のヒビが延びていた。
後頭部をヘルメット越しに打ち、一時的に視野狭窄になっていたようだ。ヘルメットを着用していなければ、即死事故だったに違いない。ありがとう、SHOEI。
小説「天空のストラーダ」
東京と伊豆を舞台にバイクにまったく興味のない主人公・倉嶋が、バイクを通じて大人へと成長する青春激走物語。新聞社のプレスという原稿輸送をバーチカルツインのカワサキW3で始め、修羅場とも言えるプレスの世界で鍛え上げらる。伊豆の大自然の中、知り合った女性 明石綾とタンデムで走る楽しさなど′80年代のバイクと人の触れ合いをユーモアたっぷりに、ときには激走シーンをリアルに描いたバイク小説。
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おわりに
フレディー・スペンサーなら転倒を回避できたかもしれませんね。いや、彼ならハイサイドなんか間抜けな真似はするわけない。なにせ、サーキットで時速100キロ以上でタイヤをわざと滑らせて、フルバンクなのに平気でコントロールしてた怪人ですから。
用語の解説
トワイライト | 太陽の残光と月が支配する青い光源2つ存在する時間帯。日の出前や日没後の薄明かりのこと。 |
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Vツイン | Vの字に2本のシリンダーをレイアウトされたエンジン。GL400はV型に200ccの気筒2本をレイアウト。エンジンの長さを短くできるメリットがある。 |
バンク | カーブを曲がる時にバイクの車体を斜めに倒すこと。フルバンクはこれ以上倒せない位に倒し込む事。車体を倒し込み過ぎると、当然倒れてしまい事故になる。白バイ隊員と郵便配達員のバンク角は凄い。 |
ステップ | オートバイの運転手が足を乗せてる棒 |
グリップ | 接地力。雨の日には低下し滑りやすくなる。砂、オイル、氷でグリップは無くなり、コントロールできずにスッテンコロリン。 |
ハイサイド | オートバイや自転車など主に二輪車で旋回中などでタイヤが横方向へ滑った後に急激にグリップが回復して車体が起き上がる制御不能な挙動。ほとんど転び、被害甚大。 |
ボディースラム |
対戦相手の体をスローモーションのようにゆっくりと持ち上げ、背中からマットに叩きつけるプロレス技。 |
ブリンカー |
馬の両目の外側部分に着ける前しか見えない目隠し板。競馬ではコース沿いにいる観客や、乗馬や馬車においても通行人や自動車などに驚いてしまうために考えられた馬具。 |
FRP素材 |
ガラス繊維を樹脂で固めた強化プラスチック素材 |
SHOEI |
乗車用ヘルメットの老舗メーカー。 |
フレディー・スペンサー | 伝説のバイクレーサー。バンク角を自由に操り、泥道走行のドリフト技術を舗装路で駆使して滑ってもガンガン全開走行ができる、アスファルトのフィギアスケーターだった。 |
バーチカルツイン | 垂直に立った形のシリンダーを持つ2気筒エンジン |
タンデム | バイクの二人乗り。前後2頭立ての馬車からきている。切株おやじの新婚旅行はタンデムだった。 |
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