ボンネット、ぼこぼこ! 漂々としたドラゴンの武勇伝①
漂々としたドラゴンの武勇伝
ドラゴンという男
とりあえずブックマークすると後でゆっくり読めまーす。
コメント無しでも嬉しいな。
普通にそこらへんに居そうなやつ
ドラゴン(♂)は、痩せていたというか、たぶん太れない体質だったように思う。
こけた頬に、朝剃っても夕方には青くなる顎。
黒ぶちメガネから覗く、上目遣いでまつ毛の長い優しい眼。
会話が一呼吸置いて返ってくるような、割と小柄で物静かな男だった。
挨拶
うんこ座りのドラゴン
その日、ドラゴンが何をしてたかはよく分からないが、彼は原付バイクを交差点付近に停めてウンコ座りをしてた。
彼はひとりだった。
もの思いにふける彼に声をかけた運の悪い車があった。
助手席の窓が降りる。
「にーちゃん、何してんのー?」
「・・・・。」
「ねーねー、にーちゃーん、何してんのー?」
その交差点に止まった黒い乗用車は、3年継続すると言われる大殺界の一番深くて暗い停止線に停まってしまったのかも知れない。
立ち上がるドラゴン
しつこく声はかかる。
「ねーねー、にーちゃーん、何してんのー? ナンか言ってー。」
ナンデコエカケルカナー?
「・・・・ァー・・・・。」
遠くを見るような虚ろな目で気怠く腰を上げたドラゴンは、いきなりヘルメットを振り上げた。
またねー
乗用車の黒塗りのボンネットが凹んだ。
ゴンっ、ゴンっ、ゴンっ!
助手席のウインドウがが慌てて上がる。
鉄球と化した兜での打刻は止まらない。
フロントガラスにドラゴンのチラリとの目線を感じたドライバーは、ハンドルを握りしめ青信号の寸前にタイヤを鳴らして急発進! 荒い息と焦げ臭い煙を残して消えた。
おわりに
暴力行為に出た彼の行動は非難されるべきです。
しかし、微妙な力関係バランスの心理戦が、一瞬のうちに完結しているのを感じます。
この後、何もなかったのが、今になっても不思議ー。
ドラゴンの知人の似たような話
用語の解説
大殺界 | 冬のように凍えて体が動かない時。夏でもくる。あー、寒くて辛いなー。 |
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