踊り子さんとの純愛 青年の矛盾 小説「裸の華」書評
踊り子さんとの純愛
止められない若さ
同級生
とりあえずブックマークすると後でゆっくり読めまーす。
コメント無しでも大丈夫です。
馬鹿な男
同級生の彼は中学校の弱小運動部のキャプテンをこなし、進学校として東大へも刺客を送り込むような公立高校を卒業し、一浪中だった。
彼から連絡があるわけでもなく、何の縁があるのか不思議に時々出会うそいつは、来年の再受験に向けて勉強しているハズなのだが、そうでも無さそうであった。
今では風俗というジャンルに分けられるはずである業種、踊り子さんが体の柔らかさを舞台の上で披露するセクシー劇場に彼は入り浸っていた。時に、いや度々、彼は踊り子さんに手招きされるままライバルと先を争いながら舞台へ上り、スポットライトを浴びながら踊り子さんの艶技の脇役として演技協力までしていたようだ。
彼はほぼ毎日、楽屋への踊り子さんの「入り」には、満面の笑顔とブイサインでエールを送り、「出」には感謝の笑顔で手を振って見送っていた。劇場へはほとんど、入り浸りであった。
一途な男
常に劇場にいる彼。踊り子さんはもちろん、サポートスタッフにも面識ができ、心まで通じ、そこに居るのが普通の準スタッフみたいな立ち位置になっていった。
いつの間にか、彼は踊り子の一人と一つ屋根の下で暮らすようになっていた。
踊り子はアメリカ人だった。白人系アメリカ人というだけで日本では人気者になれるこの世界。始めは面食いの彼だから「だよなー。」という先入観もあったが、話を聞くうちに、美女好きだけでは無い深い深いものがあると感じた。
どちらかというと熱血漢に分類される彼は、一浪中にもかかわらず、彼女の巡業先へもずっとついて行っていた。
読めない男
翌年、大学に受かった彼は、キャンパスライフに入った。時を同じくして彼女はアメリカへ帰国することとなった。彼は、彼女へ言った。
「必ず、会いに行くから。」
数年が過ぎ、彼はアメリカへ渡った。もちろん、彼女へ会うために。
俺は思った。きっと嫁さんにするんだろうな。
帰国した彼はにこやかに言った。「あの娘に会ってきたよ、ご家族にも。元気そうで良かった。」
むー、アメリカまで行ってオマエ そんだけか~?
小説「裸の華」
直木賞作家、桜木紫乃さんの長編小説『裸の華』。怪我で踊れなくなってしまった踊りに恋したストリッパーが主人公。踊りに人生をかけた女の人生が描かれるとともに、お客さんを満足させれば“勝ち”という、何でも一生懸命やっていれば恥ずかしいという気持ちはなくなっていく、自分の生き方に自信を持たせてくれる作品。桜木さんは女性ながら自他共に認めるストリップファンでもある。
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おわりに
青春時代の思い出は、熱くもあり冷たくもあり、賛美されたり残酷であったり。
全力で過ごしてきた日々の忘れられない思い出は、良きにつけ悪しきにつけ本人にとって宝物かも知れませんね。